医師 片山光晴のブログ

 1980年12月12日生まれ

 東京医科歯科大学医学部卒業

 今年美容皮膚科を開業予定です。

 

しみ

シミの定義って?

シミというのは、皮膚の中にメラニン(黒色~黒っぽい茶色をした色素)が蓄積されて、地肌の色よりも濃く見える部分のことを指した言葉です。生まれつきではなく、年齢とともに出てくるものを「シミ」と呼びます。メラノサイトという細胞が何らかの原因で活性化すると、メラニンをたくさん作りだします。

一般的にシミと私たちが呼んでいるものは、見た目では同じように見えても、医学的にはいくつかの種類に分類されます。また、健康上は問題のない良性のものがほとんどですが、シミだと思っていたら皮膚がんだった…ということもあるので、注意が必要です。

良性のシミの種類

①老人性色素斑 ②雀卵斑(そばかす) ③肝斑 ④炎症後色素沈着(PIH)等があります。特に①、②がよくみられるシミのほとんどを占めます。さらに、シミと似たような見た目をしている⑤脂漏性角化症 ⑥ほくろ ⑦後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)等もあります。

悪性のシミって?

日光のあたりやすい顔や首、手の甲などにできやすく、良性のシミやほくろによく似た見た目をしています。主に①基底細胞癌 ②悪性黒子 があります。

①基底細胞癌は、光沢のある黒色をしていて、やや盛り上がっています。中心にへこみがあることがあり、鼻周辺など顔の中心部に見られることが多いです。切除することで根治する場合が多いので、気になる症状があらわれたら、すぐに皮膚科を受診しましょう。

②悪性黒子は、「ほくろのようながん」といわれていて、地肌の色との境界がはっきりしている部分と不鮮明な部分があり、形も不規則です。黒色が多いのですが、淡い褐色~濃い黒色まで濃淡に差があります。初期段階では平らですが、進行してくるといぼのように一部が盛り上がってきます。こちらも、気になる症状があらわれたらすぐに皮膚科を受診しましょう。

https://jsprs.or.jp/general/disease/biyo/shimi.html  一般社団法人 日本形成外科学会

  1. しみとは

一般的に「しみ」と称される疾患で、病院に相談に来る患者さんの多くは加齢性や紫外線暴露に伴うものです。その中でも高い頻度でみられる代表的なものは、老人性色素斑や肝斑です。

老人性色素斑は、境界が比較的明瞭な褐色の色素斑で、中年以降によく見られます。紫外線の暴露により生じます。

肝斑は両側の頬部を中心としてできる境界がはっきりとした色素斑で、中年女性に多く見られます。女性ホルモンと紫外線暴露が主な原因と考えられています。肝斑と老人性色素斑を合併している例もあり、専門医でなければ見分けが難しい場合があります。

また中高年に見られる色素斑で同じく紫外線の暴露により生じる疾患として日光角化症があります。時として癌になる恐れもあり見ただけでは判断も難しい為、専門医の診断が必要となります。

雀卵斑(そばかす)は、若年性で見られる「しみ」で、紫外線の影響の他に遺伝的な素因があると考えられています。

また太田母斑や扁平母斑などの先天性の色素異常疾患もあります。太田母斑は、顔や目の周り、頬などにできる青アザです。扁平母斑は、体のどこにでもできる茶褐色のアザです。どちらの疾患も、先天性だけでなく思春期以降に生じるものもあるので、気になるアザは専門医に相談してください。

  1. しみの治療法

それぞれの「しみ」によって治療は異なりますが、上記に記した通り、紫外線暴露が主な原因の老人性色素斑、肝斑、雀卵斑は、ビタミン剤やトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン配合の外用薬、UVケアが必要となってきます。レーザー治療に関しては、適応が異なりますので、下記で説明します。

(1)老人性色素斑

ビタミン剤やトラネキサム酸の内服、ハイドロキノン配合の外用薬、UVケアも効果を発揮しますが、レーザー治療で顕著に効果が見られることが多いです。レーザー治療は、肌の深いところまで届き、原因となるメラニンを標的として照射しますので、照射直後はしみの部分が濃くなったように感じます。この為、心配される方がいらっしゃいますが、これは、痂皮(かさぶた)形成を起こしているだけです。怪我をした時にかさぶたが取れた後を想像してください。元の綺麗な肌色に戻るのと同じで、1週間程度で自然にぽろっと取れていきます。個人差はありますが、一度のレーザーで良くなる方もいらっしゃいます。しかし、レーザー治療後には炎症後色素沈着症を起こすことが多いため、治療後に濃くなったままなかなか消えない場合は、すぐに治療を受けた病院へ相談してください。

また、肌の表面層に働きかける光治療(IPL治療)というものがあります。レーザーに比べて術後にかさぶたができにくい肌トラブルが少ないという利点はありますが、複数回の照射が必要となり治療期間は長くなります。実際には光治療では効果が得られない「頑固なしみ」には最終的にはレーザー治療が必要となってくるでしょう。

(2)肝斑

ビタミン剤やトラネキサム酸などの内服、ハイドロキノン配合の外用薬が第一選択です。患部に摩擦刺激を与えないことが大事です。レーザー治療、光治療(IPL治療)は適応が難しいので、医師に相談しながら治療をすすめることが良いでしょう。

(3)雀卵斑(そばかす)

レーザー治療と光治療が有効です。老人性色素斑と同様、レーザー照射後は痂皮形成を起こします。光治療(IPL治療)のメリットとデメリットも同様です。こちらは紫外線暴露で再発を起こしやすいので、日々のUVケアをしっかり行いましょう。

(4)先天性の色素異常疾患

太田母斑は保険適応があり、レーザー治療がよく効きます。扁平母斑は必ずしもレーザー治療の効果が高いわけではありませんので、医師と相談しながらテスト照射から開始するのが良いでしょう。

  1. しみの合併症・リスク

レーザー治療では、やけどのような症状を起こすことがあります。放置しておくと、炎症後色素沈着症を起こすことが多いため、治療後に濃くなったままなかなか消えない場合は、治療を受けた病院へ相談してください。